ここまでで、KT-80より帯域・解像度は上回りましたが、一枚ベールがかかった印象でまだ改善する余地を感じます。
回路図を確認すると、サンプリングホールドするためのドライブアンプの電源供給にR154,156: 100ΩとC142,145: 100uFによるデカップリングが構成されています。この機種の設計時には、音質劣化の要因とは認識せず、回路を安定させる有効な手法と疑いを持ちませんでした。D-3300Tの開発時にデカップ時定数が可聴帯域内にあると音質を阻害する要因になるとわかり、抵抗器の代わりにフェライトビーズを採用し時定数を可聴帯域外にしました。その後フリーになってから、シャントレギュレータが音質向上に有効であることを知り、今に至っています。
100Ω100uFの時定数は15.9Hzと高く、音色に影響を与えます。短絡的考えると、削除するべきですが、残念ながら発振してしまいます。デカップの効果を失うことなく電源の変極点持たせないため、シャントレギュレータに置き換えます。+電源は15V三端子を追加しましたが、-電源は用意していません。元の安定化電源は±13.5Vありますので、R154,156: 100Ωの代わりにシャントレギュレータで±10.5V出力させます。C142,145: 100uFを1000pFに交換します。
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