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FM Tuner測定用フィルター 1

中級機のFM Tunerは、パイロットやサブキャリアの除去性能が高く気になることは少ないですが、普及価格帯のFM TunerのSTEREO時の測定は、パイロットやサブキャリアの漏れにより歪率の振る舞いがマスクされて真の実力を見ることが出来ません。そこで、オーディオ出力を400Hz‾15kHzに帯域を制限することが規定されています。現役を退いてから、再調整の際は、Filterを用いなくてもできますが、時間が取れましたので、測定用Filterを作成しました。

400Hz~15kHzに帯域を制限するフィルターの具体的な特性は明確な規定はありません。現役代は、高性能なLCフィルターが容易に手に入りましたが、現在は見つけることが困難です。オペアンプを用いたアクティブフィルターで構成することとしました。高域減衰を確保するために7次チェビシェフとします。15kHz周波数特性への影響を避けるためにカットオフは17kHzに設定しました。図のような特性です。しかし、19kHzでは-12dB弱の減衰しか得られません。もっと高次にすることも可能ですが、難易度が上がります。

19kHzは、オペアンプによるトラップで減衰させることにしました。トラップ周波数fn=1/2πCRで、Cを2700pFにするとRは3.1024kΩでE24値に乗りません。19kHzトラップは15kHzの周波数特性に影響が出ないようにQを高くします。Qを上げるとCRの誤差を無視できず、Rの一部は半固定抵抗器で調整します。2700pFも±5%(J)の誤差を持ちますので、使用するFM STEREO標準信号発生機の背面には、使用しているPiot信号出力を入力し波高が最も小さくなるように半固定抵抗器を調整します。38kHzはLPFで-70dB近く減衰できますので、Qを下げ無調整にします。19kHz -30dB弱、38kHz -40dB弱となります。19kHzトラップはQが高いので、温度の影響で周波数がずれます。フィルターを使用の際は適宜再調整します。

ハムの影響を低減するためのHPFも設けます。

これらを盛り込んだブロック図です。HPF、TRAP、LPFの順で、各フィルターをスルーさせる選択が出来ます。FM Tunerの周波数特性の測定はMONOで行い、全てのフィルターはスルーさせます。

KiCADで作成した回路図です。

ケースは、タカチ電気工業のCU-14Nにしました。このケースは底板、前面、背面で「コ」の字なので、加工しにくいのですが安価です。操作、入出力端子は前面に配置します。トランスは、手持ちのPCM-1802Wです。AC16V/18V x 2, 0.2A のトランスです。

配置します。トランスは、手持ちのPCM-1802Wです。AC16V/18V x 2, 0.2A のトランスです。

組み上がった特性、WeveGeneとWaveSpectraで測定

全てのフィルターをOFFにした時、12kHzにチェビシェフ特有のリップルが見られます。計算では±0.25dBですが、-1dBほどになっています。

TrapのみON。19kHz調整後、38kHzは累積誤差によりシミュレーションよりブロード。

LPFのみON

17kHzKOFは、DACやPWM AMP等の出力にDデジタルノイズが乗っているDigital機器の測定でも有効です。