Since: 14,Octorber 2004 : Revision 2, September 2025
Phono EQ Curve 1
LME49860によるAQ-01でLPを楽しんでいました。
しかし、Trans Linear Bias AMPを作成し、従来BIASでは、得られない改善を見ました。Phono EQにも応用したらLPの音質も改善できるのでは興味が湧きました。増幅段をディスクリート差動三段構成 + TLBによるAQ-02をすぃ作成するにあたり、話題になっている、各種のEQ Curveに対応することも考えました。
RIAA, NAB, AES, Columbiaとffrrの5種類を切り替えることにしました。また±0.3dB以下の偏差を目指します。まずは各種EQ Curveをどのように作るかを紹介します。
・EQ Curve
制作し評価するためには、周波数特性が必要です。RIAAは検索すると周波数特性表を見つけることができます。ann.hi-ho.ne.jo/aria/amp.EQ-cueve.htm(http://省略)に各種カーブの記述がありますが、残念ながら詳しい周波数特性はありません。sawamixture.jp/LPequalizerCurve.pdfに時定数が記されています。ここから、各カーブの伝達関数を導くことが出来ます。
RIAA: (1+S*318e-6)/((1+S*3180e-6)*(1+S*75e-6))
AES: (1+S*398e-6)/((1+S*5305e-6)*(1+S*63.3e-6)
Columbia: (1+S*318e-6/((1+1592e-6)*(1+s*100e-6))
ffrr: (1+S*318e-5)/((1+S*1273e-6)*(1+S*50e-6))
伝達関数から周波数特性を求めるには、周波数 対 減衰量を計算します。RIAAを例にとると計算式は、、
となります。それぞれを当てはめれば各カーブの周波数特性を求めることが出来ます。計算結果をdB変換しグラフにします。
Excelで周波数と上記グラフの特性を計算させ、1kHzで0dBにすると、
Frequency Hz | RIAA | NAB | AES | Columbia | ffrr |
20 | 19.274 | 17.135 | 20.913 | 14.344 | 11.45 |
40 | 17.792 | 16.288 | 18.104 | 13.888 | 11.157 |
80 | 14.506 | 13.999 | 13.575 | 12.457 | 10.17 |
100 | 13.088 | 12.865 | 11.924 | 11.649 | 9.571 |
200 | 8.219 | 8.523 | 6.867 | 8.091 | 6.666 |
400 | 3.784 | 4.187 | 2.878 | 4.08 | 3.124 |
800 | 0.751 | 0.918 | 0.543 | 0.906 | 0.569 |
1000 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2000 | -2.589 | -3.36 | -1.973 | -3.344 | -1.693 |
4000 | -6.605 | -8.081 | -5.462 | -8.061 | -4.546 |
8000 | -11.894 | -13.681 | -10.486 | -13.66 | -9.122 |
10000 | -13.734 | -15.565 | -12.287 | -15.544 | -10.847 |
12000 | -15.264 | -17.119 | -13.793 | -17.098 | -12.31 |
15000 | -17.157 | -19.033 | -15.668 | -19.012 | -14.146 |
20000 | -19.62 | -21.513 | -18.116 | -21.492 | -16.564 |
・EQ時定数
CRの値を計算で求め、シミュレーターMicroCap12で確認しながら進めます。シミュレーション結果と周波数特性表を照合しますが手間がかかります。ラプラス変換により伝達関数の周波数特性が得られる機能があります。計算結果と同じ特性が得られます。この機能で、シミュレーション結果から偏差を得ることが出来ます。Valueには、各々の伝達関数を入力します。ここはRIAAです。
AQ-01の時定数270kΩ、22kΩ、0.012uF、3300pFのシミュレーション結果に逆RIAA特性で1kHz, 0dBにして確認します。
シミュレーションでは各素子の誤差0なので、20Hz +0.22dB、20kHz +0.14dBで±0.3dB以下に収まりますがもう少し平坦にしたいと思います。使う素子は、入手の容易なE24系列、誤差5%で考えます。時定数は270kΩを220kΩ+47kΩ、22kΩを22kΩ+680Ωに変更します。グラフ青線AQ-01、赤線変更後。
143Hz -0.055dB、7,7kHz -0.059㏈と偏差が改善されました。同様の手順でNAB, AES, Columbia, ffrrのCR値を求めました。回路図の上からffrr, AES, RIAA, NAB, Columbiaです。
この時定数の偏差は、
AES 115Hzで+0.099dBが最大偏差です。このCR定数をAQ-02で採用します。