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シャントレギュレータ 1
目指す音質に近づくために不可欠な方法の一つがシャントレギュレータです。一部の方々は以前から音の良い電源回路と評価していますが、使われている例は多くありません。殆どの場合、三端子レギュレータに代表されるシリーズレギュレータが用いられます。
一般的なシリーズレギュレータは、電源入力に含まれる雑音成分を除去する高いリップルリジェクションを得ることが出来ます。シャントレギュレータはそれほど高いリップルリジェクションが得られないことと、定電圧を得るためにアイドル電流が余分に必要で、電源の利用効率が劣ります。そのため敢えてシャントレギュレータを採用する優位性はないと思われていました。しかし、音質を改善する上で、シリーズレギュレータでは限界があります。
シャントレギュレータでしか得られない性能について考えてみましょう。シャントレギュレータは設定された電圧を保つよう常にアイドル電流を消費しています。負荷の電流が減った場合にはアイドル電流を増やし、負荷電流が増えた場合にはアイドル電流を減らします。
負荷電流+アイドル電流=一定
となります。
この特徴は、アンプで増幅により消費電流が変化し、かつ負荷抵抗に流れる信号がグランド電位を変動させる影響を低減することが出来ます。一般的なシリーズレギュレータは、電圧を一定に保つよう制御しますが、電流は制御されず、負荷や信号に追従し変化しますのでグランド電位も変化させてしまいます。この違いが聴こえ方に大きな影響を与えます。
この様子を観るために、簡単なアンプと一般的なシリーズレギュレータとシャントレギュレータの回路でシミュレーションを行います。
図1にアンプとシリーズレギュレータのシミュレーションのための回路図を示します。アンプゲインは26.5dBに設定しました。ローカル電源はアンプの傍に配置され、元電源となる電池は通常シリーズ電源が用いられ少し離れて配置されます。元電源とローカル電源の間にはSTRAY IMPEDANCEが存在します。シミュレーションではR15; 0.1Ωとします。
シミュレータには代表的なOP AMPが用意されていますが、消費電流は一定の値しか示しませんので、ディスクリート素子で20dBアンプを構成しました。

グラフ1は、シリーズレギュレータアンプ出力v(C)、グランドvC(GND)、シャントレギュレータアンプ出力v(S)。グランドv(SGND) の周波数特性です。

シリーズレギュレータではGainは20.8dBで、GNDに発生している信号成分は-65.7dBなので、ダイナミックレンジは86dBと言えます。シャントレギュレータでは、GNDSが-120dBで、ダイナミックレンジは140dBになります。
アンプ出力は電源から生成された信号ですので、電源の音色が聴こえてきます。シリーズレギュレータでは、違和感を取り除こうとコンデンサを複数にしたり、銘柄を指定しますが、傾きのかわるポイントは増幅回路、電源回路の組み合わせで多様に変わりますので、前回巧く違和感を取り除けても、条件が変われば巧くいく保証はありません。
電源の周波数特性は可聴帯域内で平坦であるべきと考えます。
シャントレギュレータは、アイドル電流が必要で、負荷電流の1/2からほぼ同じ電流に設定します。アイドル電流を必要とするため、シリーズレギュレータより消費電力が大きくなります。シャントレギュレータは安価で入手し易い素子です。TL431の定格を越えない様に設定します。電圧によりますが負荷電流は30mA程度がリーズナブルです。
残念ながらシリーズレギュレータの86dBでもアナログ方式の測定系の測定限界の近くですので、S/Nを測定しても差異は見いだせません。シャントレギュレータは 14dB あるので、音楽を再生すると聴感S/Nは優れています。
単独回路で比較すると、シャントレギュレータはシリーズレギュレータに比べ、
・アイドル電流を必要とするため、効率が悪い
・リップルリジェクションが劣る
・負荷容量により発振する領域がある
等の短所があり、オーディオ分野では積極的に使われていません。しかし、実装を考慮した状況では、グラフで観た様に、トータルのダイナミックレンジが大きく、聴感S/Nに優れた特徴があり、AUDILLUSIONの目指す音質に近づくことが出来ます。
また、シリーズレギュレータで一点の周波数に着目しリップルリジェクションの改善を容量により行うと、電源の特性にうねりを生じ、例えば、低音がブーミー、ボンつく、声が鼻にかかる、声が張り上がると耳障り、高域が金属的、ジャリジャリする感じ等の違和感が置きる原因となります。電源デカップ容量の電解コンデンサは高域で性能が劣化するので優れたフィルムコンデンサを併用すべきだ、いやフィルムコンデンサを追加しない方が良い等の議論がいまだに続いている要因の一端と考えます。
少なくとも、可聴帯域の増幅器では、必要な容量が得られれば同一ライン上の容量は一種類とすべきと考えます。複数個の容量を並列にすると特性にピークディップの変曲点が出来、音楽を聴いた時に違和感を感じさせる要因になるだけでなく、物理的に離れるので、意図しないループが構成され思わぬトラブルの要因となりかねません。
TL431は、安価で手に入る素子ですので、まずはシャントレギュレータの音質を確認して欲しいと思います。
TL431の使い方
シリーズレギュレータの回路を例にします。

シリーズレギュレータではGainは20.8dBで、GNDに発生している信号成分は-65.7dBなので、ダイナミックレンジは86dBと言えます。シャントレギュレータでは、GNDSが-120dBで、ダイナミックレンジは40dBになります。
アンプ出力は電源から生成された信号ですので、電源の音色が聴こえてきます。シリーズレギュレータでは、違和感を取り除こうとコンデンサを複数にしたり、銘柄を指定しますが、傾きのかわるポイントは増幅回路、電源回路の組み合わせで多様に変わりますので、前回巧く違和感を取り除けても、条件が変われば巧くいく保証はありません。
電源の周波数特性は可聴帯域内で平坦であるべきと考えます。
シャントレギュレータは、アイドル電流が必要で、負荷電流の1/2からほぼ同じ電流に設定します。アイドル電流を必要とするため、シリーズレギュレータより消費電力が大きくなります。シャントレギュレータは安価で入手し易い素子です。TL431の定格を越えない様に設定します。電圧によりますが負荷電流は30mA程度がリーズナブルです。
残念ながらシリーズレギュレータの86dBでもアナログ方式の測定系の測定限界の近くですので、S/Nを測定しても差異は見いだせません。シャントレギュレータは 14dB あるので、音楽を再生すると聴感S/Nは優れています。
単独回路で比較すると、シャントレギュレータはシリーズレギュレータに比べ、
・アイドル電流を必要とするため、効率が悪い
・リップルリジェクションが劣る
・負荷容量により発振する領域がある
等の短所があり、オーディオ分野では積極的に使われていません。しかし、実装を考慮した状況では、グラフで観た様に、トータルのダイナミックレンジが大きく、聴感S/Nに優れた特徴があり、AUDILLUSIONの目指す音質に近づくことが出来ます。
また、シリーズレギュレータで一点の周波数に着目しリップルリジェクションの改善を容量により行うと、電源の特性にうねりを生じ、例えば、低音がブーミー、ボンつく、声が鼻にかかる、声が張り上がると耳障り、高域が金属的、ジャリジャリする感じ等の違和感が置きる原因となります。電源デカップ容量の電解コンデンサは高域で性能が劣化するので優れたフィルムコンデンサを併用すべきだ、いやフィルムコンデンサを追加しない方が良い等の議論がいまだに続いている要因の一端と考えます。
少なくとも、可聴帯域の増幅器では、必要な容量が得られれば同一ライン上の容量は一種類とすべきと考えます。複数個の容量を並列にすると特性にピークディップの変曲点が出来、音楽を聴いた時に違和感を感じさせる要因になるだけでなく、物理的に離れるので、意図しないループが構成され思わぬトラブルの要因となりかねません。
TL431は、安価で手に入る素子ですので、まずはシャントレギュレータの音質を確認して欲しいと思います。
TL431の電圧設定の抵抗を決めます。シリーズレギュレータの電圧を目標にします。
シリーズレギュレータ入力電圧は、±18Vです。ここは整流出力でリップルを含んでいます。リップルを除去するためにシリーズレギュレータを追加します。シャントレギュレータ出力より2~3V高く設定します。追加すしたシリーズレギュレータとターゲット回路の間にシャントレギュレータをさらに追加します。

この改造により、増幅回路の電源による音質劣化のない音を聞くことが出来ます。改造にあたっては、十分な検討の上、自己責任で実施して下さい。この改造は、動作・性能を保証しません。