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電源と音質の関わり
Atelier AUDILLUSIONは、積極的にスイッチング電源を推奨しています。スイッチング電源はノイズが多く、オーディオには不向きと言われていますが、使いこなしでトランス整流より利点があります。
について紹介します。
商用交流電源を両派整流した電源では、低域と中域の質感が異なることです。量産する場合は、電解コンデンサーメーカーが、音の質感を目立たせなくする仕様で、個別部品を開発してくれますが、市販品は、入手して確認するしか方法がなく、コストも嵩み非効率です。
TLB出力回路で観ます。TLBは通常バイアスと異なりNPN-PNPがOFFすることがなく、信号一周期の中の音色の変化が気付かれにくく、発熱はAB級より少し大きいだけです。

V1: 入力信号1kHz, 9.75V、V8, V9: AC13.5V50Hz、回路動作電圧DC12V、負荷抵: 8Ω、出力12Wです。出力電圧(上段)と整流容量4700uFに流れるR37,R38に流れる電流を電圧変換しv(A), v(B)(下段)で観ます。縦軸はすべてのグラフは同じで比較できます。

平滑コンデンサには10mS(100Hz)毎に充電が行われます。充電時には、整流ダイオードがONして、誘導性、充電が行われていない期間は容量性です。
入力信号が20Hzの時は、
信号の周期は50mSですので、一周期5回の充電が行われます。
充電期間は、エネルギーがトランスから供給される誘導性で、非充電期間は平滑コンデンサーからエネルギーが供給される容量性になり、音色の違いがあります。信号周波数が高いと充電期間に遭遇しないこともあり、信号周波数が低いと常に充電期間が存在します。低域は、中域に比べ、制動力が少なく焦点があいまいで、膨らんだ印象になりがちです。
これを、避けるには電池により直流給電するか、電源の周波数を上げて常に充電を行います。電池は、コスト・メンテナンスが必要となります。電源周波数を上げるにはスイッチング電源があり、若干コストは必要ですがメンテナンスは不要です。
電源周波数を50Hzから100kHzに上げます。電源周波数が2000倍上がりますので、平滑容量は、4700uFから1/2000の2.2uFにします。
信号が1kHzの時、

信号一波は1mS、充電は、10uSで、信号一周期で10回充電が行われ誘導性です。充電頻度が増えたので、電流変化は少なくなります。
同様に、20Hzでは、
信号1周期50mSに、10uS毎の充電で、一周期で5000回の充電がおこなわれ、誘導性です。充電頻度が高いので、電流変化は大変少なくなります。
電源周波数があがると、可聴帯域内で均一な音色が得られます。スイッチング電源は、原理的に帯域内で均一な音色が得られます。また、スイッチング電源は、出力電圧を検知し帰還する定電圧制御なので、電源込みの低域遮断周波数も増幅回路だけで決めることが出来ます。平滑コンデンサを使い8Ω負荷で、0.2Hzの電源込みで低域遮断周波数を確保するには、100,000uFと超大容量が必要で、部品として存在はしますが、入手は極めて困難です。
オーディオでは、スイッチング電源はノイズが大きく使い物にならないという意見があります。生活の中では、

ACアダプター型を思い浮かべますが、

ここでは、TDK Lambda HWSXXAの使いこなしを紹介します。このシリーズは、AA-2の前、LM3886を使用した、AA-1から使い、音質の実績があります。
取扱説明書で、取り付けについて、

とあります。ドット表示部(金属シャシー)に直接ネジ止めすると、オーディオでは許容できない盛大なノイズ源となりました。この電源のブロックダイア図です。

入力された商用電源は、整流され直流となります。これを100kHz前後でスイッチングにより再度交流化します。中央のトランスで電圧降下し再度整流し、直流を得ます。出力は帰還され、スイッチング周波数を制御し、電圧の安定化させます。トランスを介することで、一次と二次は絶縁されます。トランスでリーケージフラックスが、フレーム(金属ケース)に達し、渦電流が起きます。フレームを二か所金属シャシーに固定すると新たな電流経路が掲載され、シャシー電位のノイズ源となります。そして回路のGNDから入力され出力に現れます。ケースをシャシーから絶縁してしまうと-V端子のコンデンサがGNDから浮いた状態になり好ましくありません。
取り付けには、半導体を放熱器に取り付ける際に用いる絶縁ブッシュと、絶縁ワッシャを使用し、フレームが直接シャシーの接触しないようにします。フレームがつながっているFG端子をシャシーに配線して接続します。フレームのシャシーの電位となり、フレームに誘起している渦電流はフレーム内で熱に変換され、ノイズを許容の範囲に低減できます。
スイッチング電源の音色
周波数が高いのでショットキーバリアダイオードで整流します。
オーディオ回路で使えるショットキーバリアダイオードが入手できるようになった時、多くの製作記事が発表され、エネルギー感の充実が評価されました。入手し、手持ちのアンプに組み込み、エネルギー感の充実を確認しました。しかし、高域に向かいエネルギー感が上がり、高域上がりに聴こえました。AA-1で実験したところ、同様の印象を持ちました。一般のダイオードより特性が向上することで聴感に影響していると想像しました。インダクターにより聴感を変えられるか試しました。

電源と回路の間にLPFを設けました。最も電流が流れますので、抵抗分を嫌い、φ1.6mmのマグネットワイヤーを手元にあったφ10mmの丸棒に巻き付けてコイルを作成します。10-1/2で明らかに高域が下がりますが、開放感も損なわれました。試行錯誤を繰り返し、2-1/2が聴感で良い結果でした。2-1/2のインダクタンスは、およそ0.1uHです。シミュレーターにこの値を入力しても、可聴帯域に全く影響を与えません。このインダクタンスは、VHF帯の高い周波数領域で使われているコイル並みです。しかし、ショットキーバリアダイオードダイオードの音色に有効と判断しました。
すべてのスイッチング電源に必要かというと、DACやPhono EQに使っている小電DC-DC Converterでは必要性を感じません。ダイオードの電流定格と関連しているかもしれません。
取扱説明書に、追加電解コンデンサの条件が記載されています。

HWSは、帰還が形成され安定化されていますが、出力に容量を追加したほうが、静かで低域が充実します。AA-2, 3では、DC24V出力に、手持ち部品の1000uF50Vを追加しています。
AA1-3は、ケース高さに余裕があり、(A)の縦使い取り付けで特に問題はありませんでした。DAC-01は、ACアダプターを使っていますが、さらなる音質向上を目指し、実績があるHWSに置き換え検討しました。
手元に残っているアルミケースに取り付け(B)の伏せた状態で組み込み、ACアダプターにしました。DC出力は、壊れたアダプターにケーブルとDCプラグを流用しました。この状態では、市販のACアダプターと大きな差異はありませんでした。出力DCプラグケーブルが音質的に頼りなく感じ、SP-1Qに交換し、DC12V出力に、手持ち部から3300uF35Vを追加したところ、大幅な改善を確認しました。
しかし、上蓋を被せたところ、上方向の広がりが大きく減少します。ケースの高さが少ないため、HWS上部が接近しています。上部は放熱穴からトランスが見えており、リーケージフラックスで、ケース蓋に渦電流が発生し、ケースの電位に影響を与えたと思われます。配線材で閉ループを作りトランスの上に乗せたところ、改善の兆しがありました。線材では面積が不十分と考え銅箔を丸く切って置き換えました。(放熱穴全てを覆い物理的にフラックスを閉じ込めると効果が増すと思いますが、放熱が出来なくなる不安があります。)効果は認められましたが、まだ上蓋を被せると解放感に影響が残ります。
理由を、図で考えます。

AC100V Nは、柱上トランスで接地されます。DAC-01は、接続されるソースとアンプなどと静電結合で見かけ上接地されます。スイッチング電源のDC12VはDAC-01からもAC100Vからも絶縁されています。トランスコア取り付け金具はフレームとつながります。ここはAC100V、DV12からも絶縁され静電結合で見かけ上接地されることにはなりますが、少ない面積でインピーダンスが高い状態でGNDが浮いた状態と考えられます。上蓋を閉めると音が変わる理由を考えます。

水色のオーディオ出力されるとき、出力に応じた電力が必要で、DC12Vの緑色の電流として供給されます。この出力に応じて変化する電流は、トランス二次巻き線から供給するために二次巻き線の電流変化となります。トランスコアのフラックスが変化します。その一部はリーケージフラックスとなり金属フレームに渦電流を発生させ、フレームの電位を揺らがせます。トランスはコアの電位が変化すると一次から二次への伝送が変化します。AC100VとDAC-01の電位は定まっていますが、コアと二次巻き線の電位はフロート状態で、コアは、フレームの渦電流で揺らいでいます。この状態では出力を得るための電力供給量に揺らぎが生じ音質を変化させていると推測します。
対策は、シリーズにつながっている全てが同電位に保たれることが望ましいのですが、DAC-01は、DC12Vから必要な電圧を絶縁型DC-DC Converter CC XX (TDK Lambda)で生成しており、DC12VをDAC-01のGNDにつなぐことは憚れます。フレームをGNDに線材を追加して繋ぎます。
音が安定し、静寂性や全帯域でエネルギー感が向上し、上蓋の影響も気にならなくなりました。
<リーケージフラックスを検索すると、S/N測定時の定常状態の説明で、オーディオ信号のように動的な変化にどう影響するかは見当たりませんでした。これまで読んだオーディオの技術書でも取り上げられ記憶はありません。また、リーケージフラックスにより渦電流が発生し、GND電位に干渉を与えることも見当たりませんでした。オーディオ分野で初めての技術紹介と思います。>
天板は取り外すと音が良くなると言われます。スイッチング電源に限らず商用電源の電源トランスでも、リーケージフラックスと金属筐体に発生する渦電流がGND電位に干渉している可能性があります。
確認実験は行っていませんが、電源トランスでもシャシーから絶縁し、一点でシャシーGNDに落とすことで同様の効果は確認できると予想します。
<追記> 10, Sep.. 2026
使用中の機器で、電源トランスを使っている、KT-80、KT-1000で、これまでの対策を確認したところ、効果があります。詳細は、それぞれの音質改善に追記します。
これまで、天板を外し試聴をし、天板を取り付けると、それまでの音場の広がりが、蓋をしたように抑えられる現象を何度も経験しました。また、リーケージフラックスは、残留雑音に影響することは経験してきましたが、信号で変化し、音質に関わるとは考えたことは無く、そのような記述も見たことがありません。スイッチング電源の音質から始まりましたが、内部のトランスからの影響が要因で、通常の電源トランスでも同様の効果を確認できました。スイッチング電源に限らず、電源トランスと金属筐体の影響がこれほど大きいとは思いがけない発見です。オーディオには未だ知らなかったことがあり、「オーディオは面白い」。
これまで、回路に焦点を当て音質改善を行ってきましたが、今後は筐体も含め検討し、さらなる改善を目指します。